歌い方レッスン11(表現力の付け方)
表現力のある歌を歌う時の前提条件としては、まずは他人の評価を気にするのではなく、自分がどのように歌いたいかを考えることが重要です。自分が相手に何をしたいか、何を表現したいかを考えるのです。そのために、人の目を気にしないというのは重要になってくると思います。それをふまえて、表現力をつけるために必要なことを挙げていこうかと思います。
<1>向かう意識を持つ
歌っているときに、どこに向かっているのか分からないと、単音ずつで区切れてしまったり、一語ずつの歌い方になってしまったり、音を伸ばしているときに、ただ音が出ている状態になってしまったりします。自分で「ここのアクセント、拍頭に向かっていくことにしよう。」など、ゴール地点を決めながらやるとよいでしょう。最初は、大繩ののイメージでやるとわかりやすいでしょう。また、アウフタクト(拍頭に向かうための準備の拍)なども意識できるとよいでしょう。アウフタクトで作られる「ため」は、とてもいい味を出すこともあります。J-POPで挙げられる一番良い例としては、西野カナの「たとえどんなに」などが挙げられます。サビに入る前の「たとえ」のところがため(アウフタクト)で、「どんなに」の「ど」が拍頭です。
ここは、とてもいい味を出しているので、YouTubeなどで聴いてみてください。
<2>イントネーションやアクセントなど、音読の技術を利用して歌う。
普段話している会話などでは、自然にイントネーションやアクセント使い分けられていると思うのですが、音や拍に縛られると、そこの意識が抜け落ちてしまうことがあります。なので、歌を歌う前や、音取りの時点で、まずそれらを意識して音読をすると、歌う時も自然と意識できるでしょう。また、たいていの曲は、そのイントネーションやアクセントが音の高低としっかりくるようにできているので、それは合わせて意識しましょう。
またそれらをしていると、子音と母音の組み合わせが適当ではなくて、案外計算して作られているんじゃないかということも分かるかと思います。固い、柔らかい、優しい、寂しい、などの形容詞をいろいろ音読してみるとわかりやすいと思います。
<3>情景を意識しながら歌う。
これを行うためには、<1>と<2>の技術を使ったり、和音を弾いてみてその場の雰囲気をつかむ(合唱やアカペラの場合)、歌詞解釈をしっかりと行い、歌詞に込められた意味や想いなどを読み取る、などなどたくさんあります。
<4>自分の役割をしっかり意識する。(合唱、アカペラ)
これは、合唱やアカペラなどで二人以上で歌う場合の技術です。例えば、主旋律を歌っている場合には、自分は主旋律を歌っているということを自覚して歌ったり、他パートが主旋律を歌っている時に音を伸ばしている場合は、主旋律のBGMになれるように徹したり、ビートを刻んでいる役割の時も、しっかり主旋律が進むことを手伝ったり、今自分が置かれている役割に徹することが大事です。
さまざまなことを話してきましたが、最終的に一番大事になるのが、テキトーに楽しく歌えるようになることです。ある程度基礎的な技術が身についても、それに縛られて自由に歌えなかったら、多分まったく技術を勉強していない人よりもつまらない歌い方になってしまうでしょう。
ある程度体に染みついたと思ったら、あとは何も考えず楽しく歌ってみましょう。歌はあくまで遊びです。
次の歌い方レッスンは、脳と音楽です。また、歌い方レッスンに関しては、これが最後になるかと思います。最期の記事は少し難しめの内容です。
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