猿の気まぐれ日記

こんにちは!このブログでは、ボイトレの知識やカウンセリング の知識や知恵、本の感想などを気まぐれで綴ります。

歌い方レッスン12(脳と音楽)

今回の記事のレッスンは、全体的に下の本を参考にしたものです。とても良い本なので、ぜひ読んでみてください。

 


 

今回は主に、脳科学的な観点から反復練習の大事さを説明していきます。

筋肉(声帯、横隔膜、舌など)をどのように刺激し、動かすかは脳が決めます。この過程で、感覚器{触覚、視覚(歌い方レッスン6・7でやった音を見るという感覚)、筋肉の緊張度(歌い方レッスン2・3でやった体の力の抜き方やる必要あり)、関節の位置感覚、平衡感覚、聴覚}によって外的な状況と自分の体、両方の情報を得ることによって、目的の仕事を正確にプログラムすることができます。よって、聴覚から得た情報はもちろん、音を見るという感覚から得た視覚的な情報、身体の内部の筋肉の動かし方や足踏みなどで得た体全体を利用した運動感覚的な情報等たくさんの感覚器を利用したほうが、音感や拍感は身に着けやすいです。また、音楽はどんな構造をしているのかという分析的な情報も、脳にプログラムさせるには重要な情報となります。音は単音だけでは何の役にも立たず、横の連なり(メロディー)や縦の連なり(ハモリ)という全体像があって初めて要素のシンボル化が可能になるので、譜読みなどで音楽を分析し、全体像を把握しておくことは、合唱やアカペラで音をとる際にも有用になります。

このメカニズムは動作のスピードが速く、複雑な動作を続けて行う場合には、うまく機能しません。その場合には、脳は課題に対処するために自動化された動きを作り出さなければいけません。途中段階をすべてモニターしなくても動作が完遂できる、直接ルートです。脳は、お互いに接続された何十億という神経細胞からできています。コンピューターの回路とは違って、この接続は固定されておらず、変わることがあります。実際、神経細胞からそれぞれの回路に制御された過程を絶えず単純化しようとしています。こうした新しい接続ルートを使って、より効率的に反応することができます。演奏したり歌ったりするときに必要な自動的な動作を神経細胞的に説明すると、そういうことになります。楽器を演奏したり本格的に歌ったりすることは、神経系に課す命令のなかでも、最も難しい部類に入ります。新しいレパートリーを勉強して暗譜するために必要な技術を身に着け、磨き上げ、維持するために反復的な練習を必要とします。技術を修得したり、新しいものに挑む最初の内は、正確さも速さもむらがあり、視覚や音、咽頭の感覚などを頼りに動作の一つ一つが磨き抜かれ、一連の動き全体が望ましい動きでできるようになれば、技術的な細部に気をとられることなく表現を追求できます。

この段階になれば、動作は一つの自動的な音楽プログラムになったということができ、この段階にいろいろな技術が達した時点で、テキトーに楽しく歌うことができればいいのではないでしょうか。

歌い方レッスンは一度期間を開けますが、これからは、猿の音楽旅行のコーナーとともに、音楽の技術と心がどのようにつながっているかを説明して、音楽を使って心のケアをしていくボイトレカウンセリングもしていこうと思います。